新規事業でよくある課題とは?解決方法も併せてご紹介
新規事業を立ち上げる中小企業の経営者にとって、戦略立案や市場の見極め、人材確保は重要な課題です。今回の記事は、新規事業を検討する際の課題を整理したい方に向けて、課題の例や解決へのアプローチ方法を解説します。
新規事業を立ち上げるメリット
新規事業の立ち上げによって得られるメリットとして、以下が挙げられます。
- 経営リスクを分散できる
- 売上を拡大できる
- 新しいノウハウが得られる
- 人材育成につながる
将来性のある事業を立ち上げれば経営リスクを分散できます。また、現在の事業との相乗効果が得られる新規事業の場合は、さらなる売上拡大が期待できるでしょう。
そのほか、新分野への進出により新しい情報が得られ、ノウハウの習得や人材育成に役立てられます。
新規事業立ち上げの課題例
新規事業立ち上げの課題には、リソースの課題・戦略の課題・実務の課題などがあります。具体的な課題の例を紹介します。
【リソース課題】資金調達
新規事業の立ち上げには、資金調達という課題があります。
資金調達には、金融機関借入・出資・自己資金・補助金・助成金・資産売却などさまざまな種類があります。
中でも、多くの方が選択する金融機関借入と出資に関しては審査があるため、金融機関や投資家に対して資金の必要性を具体的に説明できる必要があります。資金繰り計画・事業戦略を明確にすることが資金調達の成功の鍵になるでしょう。
【リソース課題】人材確保
新規事業における人材の確保は、さまざまな面で課題が多いといえます。
新規分野に関する知識や意欲のあるキーパーソンとメンバーを選出しましょう。ただし、既存事業の運営に影響しないように注意する必要があります。
将来性のある若くて意欲のある人材を選びつつ、事業運営のノウハウや業務遂行能力を持った経験者も同時に選ぶとよいでしょう。その際、新規採用・人材育成・アウトソーシング・M&Aなども視野に入れると、既存事業への影響が少なくて済みます。
【リソース課題】ノウハウの取得
新規事業に関するノウハウの乏しさは当然のことです。何らかの手段で知見を得る必要があります。新規事業を始めるにあたって必要なノウハウは以下のとおりです。
- 事業計画作成のノウハウ
- 戦略策定のノウハウ
- マーケティングに関するノウハウ
- 人材に関するノウハウ
- サービスに関するノウハウ
新規事業の調査・戦略策定・実行に関して、外部企業や専門家を活用すればそこから知見を得ることができます。事業運営・マーケティング・R&D(研究開発)・実行部隊のプロ人材など、自社に足りていない分野に関しては外部委託を検討しましょう。
【戦略課題】市場とニーズの把握
市場・消費者ニーズの把握が必要です。自社が進出する市場、ニーズが存在するかどうか、参入余地があるかどうかを見極めるために各種のリサーチを行います。
市場の将来像にも目を向けて、自社の市場における位置付けをイメージしましょう。参入当初から存在感を示せることは稀であり、数年後にポジションをとれる戦略を立てることが有効です。
【戦略課題】ターゲット設定
新規事業の戦略立案には、ターゲット設定は欠かせません。市場のトップ企業がターゲットとしている層を狙うのか、そうでない層をターゲットにするのかによって戦略は異なります。
ターゲットは、自社の商品・サービス・技術の価値とセットで考えましょう。消費者のライフスタイルや自社商品の価値の活かし方を考えながら、対象となるユーザーとその嗜好や行動(ペルソナ)を想定してください。
【戦略課題】意義・価値の明確化
自社の行う新規事業が、顧客・消費者にとってどのような価値を持つかを明確化しましょう。
多様な商品・サービスが存在する現代は、単に性能や効果があるだけでは持続的な事業拡大はできません。社会にとって意義があり、市場に価値を提供し続けるための理念が重要です。
顧客に受け入れられる理念や事業の存在意義を作り、顧客・消費者・社会にとって価値が高い商品・サービス・技術の提供を目指しましょう。
【戦略課題】収益計画
新規事業の開始直後から十分な利益を確保することは難しいでしょう。しかし、短期的な利益の確保が必要なことは事実です。とくに融資を受ける場合は当面の収益計画が重要です。
売上や損益の見通しを明らかにして、利益が出ないときの撤退ラインも定めておきましょう。投資金額を最小限に抑えたい場合は、リーンスタートアップが向いています。リーンスタートアップとは、サービスの試作品を短期間でつくり、顧客からの反響をもとにサービスを開発していく手法のことです。
どのように収益を上げるのかを明確にし、融資元に計画性をアピールしてください。
【実施課題】参入時期の決定
市場参入のタイミングは立ち上げ時の利益やその後の動向に影響します。社内のモチベーションにも影響を与えるでしょう。
トレンドに左右されやすい事業は、とくに参入時期に関するリサーチが重要です。
新しい技術・商品・サービスが認知され始める導入期の参入が最も効果的です。できる限り早く参入しないとチャンスを逃すでしょう。
また、マーケット以外の側面としては、既存事業の業績や資金調達のスケジュールも参入タイミングも関わる要素です。
【実施課題】スケジュール進行と調整
市場への参入スケジュールは、さまざまなリスクを予測しつつ決定します。事業計画を実行する段階で以下のようなアクシデントが発生して、スケジュールが遅延する可能性があるためです。
- 法改正に気づかずに対応を余儀なくされる
- 資金・資材・人員調達の遅れ
- 市場・ニーズの見込み違い
- その他不測の事態の発生
課題検討の初期段階から外部の専門家のチェックを受け、アクシデントを解決・調整できるような体制を作りましょう。
新規事業の課題を解決する方法
新規事業の課題を解決するときには、「フレームワークの活用」と「外部の専門家のサポート」がおすすめです。新規事業は未知の分野へのチャレンジとなるため、自社の力やノウハウだけでは成功が難しいといえます。これらを活用して新規事業を成功させましょう。
フレームワークを活用する
フレームワークを活用すると、戦略策定がスムーズになります。PEST・SWOT・4C・MVVなどの各種フレームワークを目的に応じて活用し、外部環境・内部環境の把握、ターゲティング、事業の社会的意義・価値の定義を行いましょう。
外部の専門家のサポートを受ける
新規事業に対して社内のリソースが乏しいことも多く、外部の専門家や経験者に頼る必要性も出てくるでしょう。
事業戦略やマーケティングに強いコンサルティング会社に相談すれば、市場や自社に対するプロの客観的な見解を得られます。あわせて、施策のアイデア出しや評価について専門的な知見が得られるでしょう。
専門的な実務の遂行を外部にアウトソースしたり、実務経験豊富な人材の紹介を受けたりすれば、実務面での解決も可能です。
新規事業の課題まとめ
新規事業の課題はリソース・戦略・実施のすべてに存在します。課題の解決方法として以下があげられます。
- リスク低減のためにリーンスタートアップを基本とする
- 資金や人材、ノウハウを調達する
- 協力できる会社や専門家などのリソースを活用する
- 市場・ニーズ・提供価値などの戦略を明確にする
- 参入のタイミングを見極める
- アクシデントに対応できる体制を作る
入念な準備と迅速な参入によって新規事業の課題を克服し、市場における自社の価値を高めましょう。