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経営戦略シナリオ ~顧客視点で事業競争力を強化する(4)~

こんにちは。アクセラレーションパートナーズの松下弘司です。
今回は、経営戦略シナリオ ~顧客視点で事業競争力を強化する(4)Blue Ocean(ブルーオーシャン)競合相手のいない領域を切り開く~について詳しく解説します。

経営戦略(4)
Blue Ocean(ブルーオーシャン)
~競合相手のいない領域を切り開く~

まずはじめに、ブルーオーシャンとレッドオーシャンについておさらいします。

レッド・オーシャンとは?:既知の市場空間
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」

ブルーオーシャンとは?:未開拓な市場空間
競争のない未開拓市場である「ブルーオーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」
➜ブルーオーシャンをビジネス領域として切り開き、これまでにない新しい需要を生み出すための戦略

ブルーオーシャン戦略の土台となる「バリューイノベーション」

従来からよく知られているマイケル・ポーターの競争戦略が「事業が成功するためには低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のいずれかを選択する必要がある」としている一方、ブルーオーシャン戦略では「「減らす」「取り除く」ことによる低コスト化と「増やす」「付け加える」ことによる顧客にとっての高付加価値は両立し得る」と主張している。    

競合不在の市場に入るには、「コストを落として」「価値を高める」という「バリューイノベーション」という考え方が必要です。
そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、
それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だとしている。

バリューイノベーションとは?
コストを下げながら、同時に買い手にとっての価値を高めることで、企業と買い手双方にとっての価値が飛躍的に高まった状態

戦略キャンバスと4つのアクション

1.    常識から取り除くものは何か?
2.    思い切り減らすものは何か?
3.    思い切り増やすべきものは何か?
4.    これまでにない付け加えるものは何か?

バリューイノベーションを考えるには、商品サービスの企画の際に、以下の4つのアクションを取り入れることで、バリューイノベーションを見つけます。
※戦略キャンバスの軸に合わせて、「なくす・減らす・増やす・付け加える」をします。


例えば、10分1000円カットのQBハウスは、プロセスを大幅に減らし、待ち時間を減らし、提供時間を減らし、『価格を下げ、利便性をあげる』という「プロセスイノベーション」に成功しています。まさに、コストを下げて、顧客が受け取る価値を上げています。


カーブスの戦略キャンバスの例

女性向けの30分体操フィットネスで世界展開しているカーブスは、
トレーニングの器具、設備を大幅に減らし、トレーニング時間も減らし、コストを削減、
かつ、女性に限定して気兼ねのない環境作り、ちょっと気軽に運動したいというニーズを満たす利便性を向上しています。

ブルーオーシャンを見つける6つの切り口と事例
(1)ルールの変更に注目する
(2)場所を変える
(3)時間を変える
(4)サイズを変える
(5)客層を変える
(6)提供方法を変える

(1)ルールの変更に注目する
まず、法律や市場のルール変更、今までできなかったことが急にできるようになたこと、に注目することです。例えば、少し前なら、スマートフォンが普及したことによって「アプリ開発」という市場が生まれました。スマホが普及すれば、「スマホ向けウェブ制作」も売れます。Amazonでの電子書籍の販売も容易になりました。
今まで難しかった出版が簡単になっています。どのような法律の変化、ルールの変化があるのか?ルール変更は新しい需要が生まれる瞬間ということです。

(2)場所を変える
例えば、国内のチェーンストアの多くは、海外で売っていたものを日本へ持ち込んだものです。マクドナルドはアメリカの小さいハンバーガーショップだったわけです。
逆に、日本で売っているものを海外に持っていく。国内で考えれば、田舎にお店を出せばコストは下がります。イオンなどの大型モールは郊外に出店しています。他にも、リアルビジネスをオンラインへ、逆にオンラインからリアルへ、など、場所を変更することでバリューイノベーションは生まれます。

(3)時間を変える
例えば、セブンイレブンは朝7時から夜11時までやっているお店としてスタートし、今では24時間営業の代名詞です。これは時間のマーケットに注目したイノベーションでした。
つまり、朝、会社に行く前、夜、仕事が終わった後などの需要があるにもかかわらず、お店はその時間やっていなかったのです。深夜営業をしたことで人気になっているクリニック、美容室、ネイルサロンなどは時間の需要を満たしています。

(4)サイズを変える
例えば、キャベツを半分にしたら2人暮らしの人でも余らずに使えますし、1/4にしたら、一人暮らしの人でも使い切ります。洋服のサイズがない体の大きさの人、など、サイズを変更しただけで需要は生まれています。

(5)客層を変える
例えば、パーソナルコンピューターは法人向けのコンピューターを個人向けにしたものですし、ハイチオールCは中年男性向けの二日酔いの商品でしたが、女性向けにシミに効くものとして売り出してヒットしました。
対象者を変えることで、バリューイノベーションは生まれます。

(6)提供方法を変える
例えば、先ほどのプロセスを排除して低価格にしたQBハウス。ドライブスルー。
野菜の宅配。サブスクリプション。提供手段を変えることで、利便性が上がったり、価格が下がったり、ということでもバリューイノベーションがあるのです。

ブルーオーシャン戦略の失敗例

参入障壁が高まるわけではない
例えば、大企業では任天堂のWiiUは、今までゲームをしたことのない家族向け、女性を取り込んだことで成功したゲーム機です。
プレステやエックスボックスといった子供やゲーマー向けの市場とは別の場所に入ったことで、ブルーオーシャンを実現し、一気に業績を伸ばしました。
しかし、iPadとスマホの登場により、無料ゲームが普及、結果として販売が伸びずに、2014年には赤字に転落しました。
ブルーオーシャンを実現したからといって、時間経過とともに競合が同じ市場に参入してきます。
さらに、上記のように、「別の形」で同じ市場を取られるという場合もありますからね。「似たような商品」だけが競合するわけではありません。
ブルーオーシャン戦略だけで全てが解決するわけではないということ。

ブルーオーシャン戦略のまとめ
適切な価格で、継続性のあるビジネスを行う上で必要な改善は以下の3つ

1.    競合不在のマーケットへの参入
2.    世界観による優良顧客集客
3.    3つの数字による儲かる構図を作る

つまり、マーケット選びと商品サービスのイノベーション、最適な伝え方、そして利益の出るビジネスモデルです。
今回はマーケット選定とイノベーションについてブルーオーシャン戦略という切り口でお伝えしていきました。
まず、何を減らせるか?何を増やせるか?何を変えるか?といったことをニーズの合わせてアイデアを書き出してみましょう。
イノベーションが生まれるかどうかは、ノートとペンを握りしめる時間を持つかどうかで決まっています。
ぜひトライしてみてください。


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